誠実にあなたに寄り添う専門家
すぎもり行政書士事務所
TEL: 06-7506-3993
お問い合わせ

えっ、信託口座がないとダメなの?家族信託の落とし穴とは

行政書士 家族信託 信託口座 総論

信託契約を結んでも、信託口座がなければ家族信託は機能しません

家族信託を実行するには、「信託契約書を作成する」だけでは不十分です。

最も大事なのは、その契約に基づいて財産管理を実際にスタートさせる仕組みが整っているかどうか。

中でも、信託財産として預金を管理する場合に必要となるのが、信託金銭を管理するための口座です。

この口座には、主に以下の2つの方法があります。

金融機関に正式に開設する「信託口口座」

受託者個人名義で管理する「信託専用口座」

この記事では、それぞれの違いや開設の実務ポイント、選ぶ際の注意点を詳しく解説します。

信託口座が開設できず、信託がストップする現場の混乱

「家族信託を契約したのに、うまく進まない」

そうしたご相談の背景には、信託口座の問題があることが少なくありません。

  • 銀行に信託口口座の開設を断られた
  • 契約書の内容が金融機関で通らなかった
  • 信託口座の存在すら説明を受けていなかった

契約書をどれだけ丁寧に作っても、預金の受け入れ先がなければ財産管理は始まりません。

まさに、「信託口座がなければ家族信託は動かない」のです。

まさか口座でつまずくなんて」よくある相談

実際に相談を受ける中で、以下のような声をよく耳にします。

  • 「信託口座って聞いてなかった。普通の口座じゃダメなの?」
  • 「銀行で“信託には対応していません”と言われてしまった」
  • 「金融機関に行ったら、契約書の文言が不十分だと言われた」
  • 「信託契約を結んだ後で、口座問題に気づいて困っている」

このようなトラブルは、信託金銭の管理方法の理解不足と、金融機関との調整不足から起こります。

特に「信託口口座」と「信託専用口座」の違いを知らないまま動き出してしまうと、トラブルや手戻りが発生するのです。

2つの口座の違いと、それぞれの特徴

信託金銭の管理方法には、次の2つがあります:

正式な「信託口口座」

受託者が“受託者名義”で開設する専用口座

名義例:「〇〇信託 〇〇太郎 受託者」

銀行に信託契約書を提出し、信託目的であることを認識してもらった上で開設されます。

正式な信託口座として、信託法上の分別管理が明確に担保されます。

メリット

以下のようなメリットがあります。

信託であることが金融機関にも明確に認識される
トラブルや税務対応時にも、根拠を持って説明できる
受益者や親族からの信頼性が高い

デメリット

一方で以下のようなデメリットまるので注意が必要です。

金融機関によっては対応していない(特に大手都市銀行)
支店や担当者によって理解度に差がある
開設までに時間がかかる場合がある

便宜的な「信託専用口座」

受託者の個人口座を“信託財産専用”として使う運用方法もあります。

名義は通常の個人名義(例:「〇〇太郎」)

銀行には信託目的とは伝えず、受託者の管理意識と帳簿で分別管理を行います。

メリット

以下のようなメリットがあります。

どの銀行でも比較的開設しやすい
時間や手間がかからず、すぐに運用を始められる
開設を断られるリスクがほぼない

デメリット

一方で以下のようなデメリットまるので注意が必要です。

信託財産と私財の境界が曖昧になりやすい
相続時やトラブル時に誤解を招く可能性あり
税務上の説明責任や証明が難しい場合がある

結局どっちがいいの?

では、結果としてどちらを選ぶべきかでしょうか

理想としては信託口口座(透明性・安全性が高く、法的にも安心)を選ぶべきです。

ただし、信託口口座が開設できない銀行も多く、開設できない場合の次善策として信託専用口座の検討が必要です。

どちらにしても、「管理は分別・帳簿は明確に」が基本となります。

信託口座をスムーズに用意するための実務ポイント

以下は、実際に信託金銭を預金で管理する際に気を付けたいポイントです。

金融機関の選定は慎重に

→ 家族信託に対応している銀行は限られており、ネット銀行は原則不可

→ 地銀・信金・ゆうちょ銀行など、過去の対応実績があるところが安心

事前の電話確認と資料準備が鍵

→ いきなり窓口に行かず、事前に「信託契約書があり、信託口座を開設したい」と伝えて担当者を確認

→ 契約書の文言が明確で、信託目的が読み取れるものが望ましい

専門家のサポートが有効

→ 士業が作成・立会いした契約書であることを伝えると、金融機関の安心感につながる

→ 書面に専門家名を入れた説明資料などを添付するとスムーズ

“契約だけ”では、信託は動かない

よくある失敗の一つが、「契約書を作ったから安心」と思ってしまうこと。

しかし、信託は契約だけでは完結せず、実行できる体制が整って初めて意味を持ちます。

以下の点に配慮する必要があります。

  • 金銭の信託がある場合は必ず管理口座が必要
  • 信託口口座の開設にはハードルがある
  • 便宜的に信託専用口座を用いる場合も、帳簿と管理を厳密に

信託金銭の管理方法も見据えて相談を

信託契約を作成する前に、「口座の問題」「実行可能性」を見据えた設計が不可欠です。

当事務所では、信託契約書の作成だけでなく、信託口口座や信託専用口座の選定・開設支援、金融機関とのやり取りまで実務をトータルでサポートしています。

家族信託をスムーズに進めるために、ぜひ一度ご相談ください。初回相談は無料です。

お問い合わせはこちら