「親はまだ元気だから、遺言のことはまだ考えなくてもいい」
そう思っている方も多いかもしれません。
一方で、親が元気なうちだからこそ、家族で考えておけることもあります。
子どもが複数いる、自宅などの不動産がある、特定の子どもに財産を残したいなど、家庭によって事情はさまざまです。
遺言は、相続が始まってから準備するものではありません。
親自身が元気で、自分の考えを家族に伝えられるうちに、将来のことを考えておくことが大切です。
この記事では、どのような場合に遺言を考えておくとよいのか、家族で確認しておきたいポイントや遺言の基本について、わかりやすく解説します。
親が元気なうちに遺言を考えるのはなぜ?
「親はまだ元気だから、遺言について考えるのは早い」と思う方もいるかもしれません。
しかし、遺言は亡くなった後の相続に備えるだけでなく、親自身が元気なうちに、財産をどのように残したいのかを考えておくためのものでもあります。
遺言は「亡くなった後」のためだけのものではない
遺言は、親が亡くなった後に、どの財産を誰に残すのかという意思を示すものです。
遺言がなければ、原則として相続人が話し合って遺産の分け方を決めることになります。
家族の中で考え方が一致していれば問題なく進むこともありますが、財産の内容やそれぞれの生活状況によって、話し合いが難しくなることもあります。
そのため、親が元気なうちに「自分の財産をどのように残したいのか」を考えておくことは、将来の家族の負担を減らすことにもつながります。
判断能力があるうちだからこそ考えられる
遺言は、遺言者本人が自分の意思で内容を決めて作成するものです。
そのため、親自身が将来について考え、自分の希望を伝えられるうちに準備しておくことが大切です。
認知症などによって判断能力が低下してからでは、遺言の内容を自分で判断して作成することが難しくなる場合があります。
「まだ元気だから必要ない」と先延ばしにするのではなく、元気な今だからこそ、将来について親子で話してみることが遺言を考えるきっかけになります。
こんな場合は親と遺言について考えてみる
親が元気なうちに、遺言について一度考えてみてもよいケースがあります。
特に、相続した後の財産の分け方について家族の意見が分かれる可能性がある場合は、親の希望を確認しておくことが大切です。
子どもが複数いて、財産の分け方が気になる
子どもが複数いる場合、親が亡くなった後に、誰がどの財産を受け取るのかを相続人同士で話し合うことになります。
「兄弟姉妹で話し合えば決められる」と考えていても、それぞれの生活状況や財産に対する考え方が違えば、話し合いが難しくなることもあります。
親がどのように財産を残したいと考えているのか、元気なうちに確認しておくとよいでしょう。
自宅などの不動産がある
自宅などの不動産は、預貯金のように簡単に分けることができません。
例えば、親が亡くなった後も誰かが自宅に住み続ける場合、他の相続人との間でどのように調整するのかを考える必要が出てくることがあります。
不動産を所有している場合は、親が元気なうちに、その不動産を将来どうしたいと考えているのかを聞いておくことも大切です。
特定の子どもに財産を残したい事情がある
「長年自分の世話をしてくれた子どもに多く残したい」「特定の子どもに自宅を残したい」など、親自身に希望がある場合もあります。
こうした希望があるなら、親が元気なうちに家族で話しておくとともに、どのような方法で意思を残すのかを考えておくことが大切です。
家族関係や住んでいる場所などに事情がある
子どもの一人が遠方に住んでいる、再婚による家族関係があるなど、家庭によって事情はさまざまです。
相続が始まってから初めて家族が集まって話し合うよりも、親が元気なうちに、家族の状況や親の希望について確認しておくことで、将来の相続について考えやすくなります。
遺言がない場合に家族で考えておきたいこと
遺言がなければ、原則として相続人が話し合い、遺産の分け方を決めることになります。
そのため、親が元気なうちに、財産の内容や親自身の希望を確認しておくことは、将来の相続を考えるうえで大切です。
親がどのような財産を持っているのか確認しておく
相続が始まってから、家族が親の財産をすべて把握しているとは限りません。
預貯金や不動産など、どのような財産があるのかを親子で確認しておくと、将来の相続について考えやすくなります。
ただし、財産の内容をすべて家族に知らせることに抵抗がある親もいるでしょう。
まずは「もしものときに困らないように、重要な書類などの場所だけでも確認しておく」といったところから始めてもよいでしょう。
遺言を作るなら、どんな方法がある?
遺言にはいくつかの方式があり、それぞれ特徴が異なるため、親の希望や状況に合った方法を考えることが大切です。
自筆証書遺言と公正証書遺言
一般的に利用される遺言には、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。
自筆証書遺言は、本人が自筆で作成する遺言です。一方、公正証書遺言は、公証人が関与して公正証書として作成します。
それぞれに特徴や作成する際の注意点がありますので、親が遺言を作ることを考えている場合は、違いを確認したうえで方法を選ぶことが大切です。
遺言書は公正証書と自筆どちらがいい?違い・費用・おすすめの選び方を解説
で詳しく解説しています。
まずは親が元気なうちに話してみることから
遺言を考えるうえで大切なのは、親が元気なうちに、これからのことについて家族で話しておくことです。
「遺言を作って」と迫るのではなく、将来について話してみる
元気な時に「遺言を作って」と言われると、親にとっては抵抗を感じることもあります。
まずは「もしものときはどうしたい?」「自宅はこの先どうしたい?」など、将来のことを話すところから始めてみてはいかがでしょうか。
親の希望を聞いてみると、家族が知らなかった考えや事情が分かることもあります。
そのうえで、遺言を作っておいたほうがよいのか、どのような方法が合っているのかを考えていけばよいでしょう。
特に、公正証書遺言を検討する場合には、遺言に残したい内容や財産の状況などを整理したうえで、公証人との打ち合わせなどを進めていくことになります。
遺言の内容や作成方法について分からないことがあれば、行政書士などの専門家に相談することもできます。
親が元気なうちに、将来の相続について一度考えてみたい方は、お気軽にご相談ください。

