ケアマネジャーや介護施設の職員の方は、ご家族から財産管理や契約手続きについて相談を受ける場面が少なくありません。
「通帳を家族が預かっていても大丈夫?」 「認知症が進んだら施設の契約はどうなる?」 「銀行で手続きができないと言われた。」
このような相談の背景には、成年後見制度が関わるケースがあります。
この記事では、現場でよく聞かれる質問をQ&A形式でわかりやすくまとめました。
制度の基本はもちろん、「どのタイミングで専門家につなげるとよいか」という視点もあわせてご紹介します。
認知症が進むと成年後見が必要になる場面とは
認知症が進むと、日常生活は送れていても、お金や契約に関する判断が難しくなることがあります。
最初は「通帳を家族が預かる」「施設の手続きを家族が代わりに進める」といった対応で済んでいるように見えても、銀行や役所では本人による手続きが必要となる場面もあり、思うように進まないことがあります。
こうしたときに、本人の権利を守りながら手続きを進める方法の一つが成年後見制度です。
財産管理や契約手続きが難しくなることがある
例えば、銀行で預金を引き出したり、不動産の手続きをしたり、介護サービスや施設に関する契約を結んだりする場面では、本人の判断能力が確認されることがあります。
判断能力が低下すると、家族であっても自由に手続きを進められるとは限りません。
家族だけでは対応できないケースがある
「家族だから大丈夫」と思っていても、財産管理や契約手続きを代わりに行う法的な権限があるとは限りません。
そのため、ケアマネジャーや施設職員が相談を受けた際には、状況に応じて成年後見制度や専門家への相談を案内することが、家族の安心につながる場合があります。
成年後見Q&A|家族からよく聞かれる7つの質問
ここでは、ケアマネジャーや介護施設の職員が、ご家族から実際に相談されることの多い疑問をQ&A形式でまとめました。
制度の基本を知っておくことで、「今は様子を見ればよいのか」「専門家につないだ方がよいのか」を判断する参考になります。
Q1 まだ元気ですが成年後見は申し込めますか?
A1. 法定後見は原則として判断能力が低下した後に利用する制度です。
一方、元気なうちに将来へ備えたい場合は「任意後見」という制度があります。
判断能力があるうちに契約を結び、将来に備える方法です。
Q2 家族が通帳を預かっていても大丈夫ですか?
A2. 通帳を預かるだけで法的な権限があるわけではありません。
日常の支払いを手伝うことはあっても、銀行での手続きや契約では本人の判断能力が確認されることがあります。
認知症が進む前に管理方法を考えておくことが大切です。
Q3 成年後見人になれるのは誰ですか?
A3. 親族だけでなく専門職が選ばれることもあります。
家庭裁判所が本人の状況を考慮して選任します。
親族が後見人になる場合もあれば、司法書士や弁護士、社会福祉士などの専門職が選ばれる場合もあります。
Q4 施設に入居してからでも申し立てできますか?
A4. 入居後でも申し立ては可能です。
実際には、施設入居後に預金管理や契約手続きで困り、成年後見制度の利用を検討するケースもあります。
ただし、手続きには一定の期間がかかるため、早めの相談が安心です。
Q5 費用はどのくらいかかりますか?
A5. 申し立て費用と後見人への報酬がかかる場合があります。
申し立てには、収入印紙や郵便切手、診断書などの費用がかかります。
専門職が後見人になった場合は、家庭裁判所が決める報酬が発生することがあります。
詳しい金額は事案によって異なります。
Q6 任意後見とは何が違いますか?
A6. 大きな違いは「契約するタイミング」です。
法定後見は判断能力が低下した後に家庭裁判所が後見人を選びます。
一方、任意後見は元気なうちに自分で後見人を決めて契約できる制度です。
Q7 ケアマネはどのタイミングで専門家につなげるとよいですか?
A7. 家族だけでは手続きが難しくなってきたと感じた頃が一つの目安です。
通帳管理に不安がある、契約手続きで困っている、家族間で役割分担が難しいといった状況が見られたら、早めに相談先を案内することで、ご本人とご家族の負担軽減につながる場合があります。
迷ったときは早めの相談が安心につながる
成年後見制度は、ご本人の権利を守りながら財産管理や契約手続きを支えるための制度です。
しかし、実際には「銀行で手続きができない」「施設の契約をどうすればいいかわからない」といった困りごとが起きてから相談につながるケースも少なくありません。
ケアマネジャーや介護施設の職員は、制度を詳しく説明する立場ではなくても、「こうした制度があります」「一度専門家に相談してみませんか」と相談先を案内することで、ご本人やご家族の安心につながることがあります。
認知症が進んでから慌てないためにも、困る前の備えとして早めに情報を知っておくことが大切です。

